2015年7月9日木曜日

リビング⇔クロークの通りドアが却下された話

設計中にちょっとした希望として「リビング⇔クロークの通りドア」というのがありました。
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ファーストプランが出された後に、リビング⇔トイレの動線が遠いんじゃないか(B)と思い、建築士さんに申し出てみたのです。

もちろん、リビングは「兼音楽室=防音室」であるので、ドアを付けるというのは、一般的な部屋と比べるとハードルが高いのは承知していました。
ドアを付けるとすれば、普通のドアよりもコストがかかる防音ドアになるでしょうし、壁も厚いので納まりの設計も結構面倒かもしれません。また、防音のレベルのことを考えると二重に施工しなければならない、という可能性もありました。
既製品や自作、色々ありますが
基本的には厚みがあり、密閉性を保てる
グレモン錠付属のドアを想定
ということで、デメリットが大きければ必要ないですが、と前置きして申し出たのですが、建築士さんに「それはどういう理由で必要で、どの程度の重要度があるか」を確認された後、上に挙げたドアを設けることによるコストアップと防音性能の不安の他にもデメリットがある、と説明され却下されました。

通り道が欲しかった理由
上述したように、リビング⇔トイレの動線の確保です。
設計を詰めていく中で、何故か「トイレに容易に行けるように」という条件が私たちの中にはありました。子供たちが小さかったことも影響していたかもしれません。そのため存在の是非が問われる「二階にもトイレ」を採用しています。

しかし、建築士さんがいうには、ここに通り道を設けても(図中A)防音ドアの開閉が必要になるため、その動線が劇的に良くなることはなく、ちょっと回り道に見えるかもしれないが(図中B)くるっと回ってもそれ程変わらない、とのことだったのでそれを信じました。結果、その通りだった訳ですが。

どの程度の重要性か
ファーストプランを提示された後に、細々した変更の希望はいくつかあったのですが、それを申し出るたびに必ず確認されたのがこれでした。
設計を詰めていく上で色んなアイデアが出てくる訳ですが、それぞれのメリットデメリットを慎重に吟味しながら取捨選択していきます。その中には当然デメリットが大きいこともあります。が、依頼建築士さんはデメリットが大きくても「施主が必要としているなら」デメリットを理解するよう促した上で採用を検討してくれました。デメリットをカバーする最善の方法を考えながら。
この通りドアについても「コストがかかってもその必要性が上回れば採用しますが」といわれましたが、「出来れば」程度のアイデアだったので、重要度は低いと言わざるを得ませんでした。

ドア(通り道)を増やすことによるデメリット
コストがかかることと防音性能の低下の他に、ドアを設けることのデメリットは「壁が減る」ことでした。
壁が減ると…
・部屋の見た目がイマイチ
一面シンプルな壁のところに、ドアがあると確かにスマートじゃないです。
・収納出来る部分が減る
私たちはそこまで考えが及ばなかったのですが、これが結構大きなポイントです。
間取りを考える上で「壁」というのは、収納にもなるし何かをディスプレイしたり家具を置いたりもできるので、割と重要です。
もしドアを採用していたら、リビング内に現在置いているローボードももっと小さい物を選ばないといけないし、クローク側の収納が丸々つぶされることになっていました。
クローク側から
奥に見えるのがサニタリー(トイレ)
リビング内
また「ドアにアクセスするスペース」というのも必要になり、リビング内のレイアウトにかなりの工夫が必要になったと思います。

通り道を勧めないもう一つの理由
上に挙げたデメリットの他に、建築士さんが「リビング⇔クロークの通りドア」を勧めないもう一つの理由がありました。
それは「リビング=音楽室」の独立性
我が家は、家の中に家がもう一つある、というのがコンセプトの一つになっていました。よって、リビングまわりの壁はモルタル&回廊部分の床もコンクリート、という「外」を意識した設計になっています。
そしてリビング内は「屋内」を意識したあたたかみのある設計。
そのリビング内に「外」に通じるドアがあるのは好ましくない、ということでした。
そんなことに考えが及びもしなかった私たちですが、建物が完成し暮らしている今、その意味がよく分かります。
リビングにいるのはかなりリラックスした状態なので、その中にドアがいくつもあったら落ち着かなかっただろうな、とかなり感覚的な話ですが、今なら超納得しています。
家の中の家(=リビング防音室)、という特徴をとらえるために
撮影された写真の構図

ということで、自分たちが思いもしなかった(割とポピュラーですかね?)デメリットを理解して「リビング⇔クロークの通りドア」は採用には至りませんでした。
今となっては「これで良かった」としかいえません。採用していたら色々な面で後悔していたでしょう。
設計中の細々とした要望の採用不採用を決めるのにもこれだけの経緯がありますよ、という一つのお話でした。
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